PBPKPlusモジュールにより、生理学的薬物動態モデル ― Physiological Based Pharmacokinetic(PBPK)モデルでの薬物動態シミュレーションが可能になります。PBPKシミュレーションは、コンパートメントPKとは異なり、主な臓器や部位に数学的コンパートメントを各々定義し、生体内薬物分布を予測します。
近年、各国から PBPK モデル関連のガイダンスが複数発出されており、その利用が推奨されています。実際、PBPK シミュレーション結果の提出により、臨床薬物相互作用試験を免除された例が報告されています。
PBPK モデルを利用すると、薬物がどのように吸収され、各臓器や部位に分布し、排泄されていくのかを予測できます。
各臓器や部位に酵素やトランスポーター、タンパク結合、血流などの情報を組み込むことで、より生体に近い薬物動態シミュレーションが可能になります。また、臓器サイズや酵素、トランスポーターなどの種差を反映させることにより、動物モデルからヒトへの外挿も可能となります。
Metabolism & Transporter モジュールを併用することで、非線形 PBPK シミュレーションが可能となり、更に PDPlus との併用で PBPK/PD シミュレーションを行い、ある部位の濃度推移から、目的とする部位での治療効果や副作用を予測することができます。
化合物の各臓器や部位への組織分配係数(Kp)は、logP、pKa、血中血漿濃度比および血漿タンパク非結合率から計算されます。生理学的パラメータ(組織重量、組織容量、灌流速度など)は、PEAR Physiology(Population Estimates for Age-Related Physiology)機能により、動物種/体重/性別/年齢を入力するだけで得ることができます。クリアランスを除く、その他の残りの必要な入力値は、すべて、ADMET Predictor® モジュールにより得られます。
デフォルトで設定されている各臓器/組織コンパートメントは下記の通りです。
・脂肪 | ・動脈血 | ・脳 | ・小腸 | ・心臓 | ・肺 | ・肝臓 | ・筋肉 |
・皮膚 | ・脾臓 | ・精巣 | ・静脈血 | ・腎臓 | ・黄色骨髄 | ・赤色骨髄 | ・その他の組織 |
パラメータが判明していれば、対象臓器/組織コンパートメントを増やすことも可能です。また、シンプルなモデルにするために臓器/組織コンパートメントを減らすことも可能ですが、各パラメータを調整してトータルで合わせる必要があります。
PEAR Physiology は、下記の各種生理学モデルに対応しています。
健康、肝硬変、単純脂肪肝、NASH、腎障害、妊婦(女性の場合のみ)
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