概 要
GastroPlus® のシミュレーションには、最低でも9種の物性値が必要となりますが、それらすべてを実験や文献から得られない場合も少なくありません。このモジュールは、そのようなケースで化学構造(SD、RD、MOL、SMILES フォーマット)から必要とされる物性値を予測します。予測モデルは、同社の高精度ADMET物性予測ソフトウェア ADMET Predictor® と同じものが用いられています。化学構造のみで、Fa予測や吸収部位の推定、吸収障壁の解析などが可能となり、バーチャルスクリーニングや初期製剤設計などにご利用いただけます。
ADMET Predictor® - Physicochemical & Biopharmaceutics モジュール をお持ちの方には、このモジュールは無償で提供されます。
特 徴
- 化学構造のみから必要な物性値を高速度、高精度で予測計算し、その結果が GastroPlus® のデータベースに自動的に追加登録されます。実測値が全く無くても Fa 予測や Cmax の推定が可能となります。
- 化学構造ライブラリーの Fa でのバーチャルスクリーニングが可能です。これにより、in vivo 実験を行う際のプライオリティー付けができます。
- 粒径、溶解度、膜透過などによる吸収への影響を化学構造のみで評価できます。その結果を用いて吸収障壁の要因解析を行い、初期の製剤設計に活かす、in silico製剤設計が可能となります。
機 能
- 化学構造のみで GastroPlus® に必要な物性(下記予測物性一覧参照)を高速で予測します。特に実測が得られにくい膜透過係数の予測、生体における胆汁酸の影響を反映できる FaSSIF、FeSSIG、FaSSGF の溶解度も予測できます。
- 溶解度、logP、pKa、溶解度ファクターの予測値から溶解度と pH のプロファイルおよび logD と pH のプロファイルを生成し、吸収シミュレーションの際に各消化管部位における化合物の吸収変化を反映させることが可能です。
予測物性値:
- 溶解度(mg/ml)
- logP
- pKa
- 溶解度ファクター
- ヒト膜透過係数(Peff cm/s x 10^4)
- 水中拡散係数(cm^2/s x 10^5)
- ヒト血しょうタンパク結合率
- ヒト分布容積(L/kg)
- ヒト血液血しょう濃度比(Rbp)
- 生体関連溶解度(FaSSIF、FeSSIF、FaSSGF)
- 過飽和傾向
- ウサギ角膜透過係数(眼投与シミュレーションに使用、ADRモジュールが必要)
- ラット:固有クリアランス、血しょうタンパク結合、血液血漿濃度比、ECCS
- CYP 代謝動態 - Vmax, Km, CLint
- 血液脳関門透過分類
- P-gp および OATP トランスポーター阻害モデル分類