Molegro Virtual Dockerでは、以下のフォーマットの分子構造を読むことができます:
外部プログラムで、リガンドを前処理することが可能です。MVDは、リガンドが、チャージや結合次数などのいろいろなプロパティをストアできる分子データフォーマットでセーブされていれば、それらを読むことができます。ただ、そうする必要もなく、MVDでは、自動的に、原子の結合性を決定し、結合次数や混成を割り当て、explicitな水素を付加します。また、その後に、GUIを用いて様々なプロパティを修正することも可能です。最低必要なことは、リガンドの構造データが3Dデータであることです。
Molegro Virtual Docker は、以下のフォーマットでストアされたリガンドを読むことができます:
リガンドと同様に、外部プログラムでタンパク質を前処理することができますが、そうする必要はありません。MVDでは、プレパレーション機能によって必要な分子プロパティをアサインします。異なるプロトネーション状態は、プロトネーションウィザードを用いて、GUIで設定できます。
Molegro Virtual Dockerでは、以下のフォーマットでストアされたタンパク質構造ファイルを読むことができます:
タンパク質の残基を変更することが可能です。2つの残基のN、C、CA の主鎖原子と合わせることによって新しい残基に置き換えられます。新しい残基に置き換えた後は、その残基についての2面角の探索を実行し、その位置を最適化できます。またさらに、近傍残基の位置を最適化することも可能です。
DNA-タンパク質複合体にリガンドをドッキングすることは可能です。しかしながら、DNA分子は現在リガンドとして解釈されます。そのため、これらがドッキング計算で考慮されるためには、ユーザは、これらを’補因子’にコンバートしなければなりません。
注意:MVDで用いられるスコアリング関数は、タンパク質-リガンドの複合体で調整され、ベンチマークが得られているものである点をご理解の上ご使用ください。
金属イオンは、他の補因子と同様の方法で扱われます。立体的相互作用(Van der Waals)と静電相互作用が考慮されます。現在、MVDには、金属配位相互作用に関する特別な力場の項はありません。
前述の回答と同じですが、取扱いは可能で、Molegro社では良いドッキング結果を得ています。この場合、ヘム錯体を補因子として定義し、シミュレーションを行います。
現状では、金属原子は、金属原子と、例えば、タンパク質、リガンド、補因子との間の、立体的相互作用とクーロン相互作用を考慮することによりドッキングスコアリング関数で取り扱われており、様々な金属のジオメトリーを考慮するような、金属条件に対する特別な項を組み込んでいるわけではありません。
現在、このような特別な項の組み入れを今後のリリースで行うことが検討されています。
MVDは、タンパク質に対する低分子(リガンド)のドッキングのみに対応しています。
タンパク質構造のエラー(原子の欠損や誤った結合)をチェックし、同じタイプの残基に置き換えることで再構成し修復することができます。修復後に、その残基についてのベストな2面角の探索を実行し、近傍残基の位置を最適化することも可能です。
最適なポジションと回転、回転可能な結合のトーション角がドッキング計算から決定されます。回転可能な結合は単結合で、環の一部ではありません。ドッキング時に固定された状態にするかどうかは、その結合を選択することで行います(部分や全体リジッド)。
環構造と結合長はドッキング計算では変化しません。異なる環構造を調べるためには、分子モデリングツールが必要となります。低いエネルギーを持つコンフォメーションのいくつかがドッキングされます。
ドッキング計算では、'induced fit'効果をシミュレートすることができます:MVDでは、これはドッキング計算中にポテンシャルをソフトにし(PLP-ポテンシャルの許容範囲を増やしたり、あるいは、選択した側鎖の相互作用を弱めることにより)、多様なポーズの集合をドッキングし、最終的に側鎖のコンフィグレーションを最適化することによって行われます。注意:タンパク質の主鎖原子は固定されたままです。側鎖の角度のみが変化します。
MVD では、displaceable water model により、リガンドついて、ドッキング計算中に望ましい水分子を保持し、望ましくない水分子を移動させることが可能です。水分子を含まないドッキングがうまくいかないような状況下では、このdisplaceable water model を用いることを推奨しますが、このモデルではあり得る水分子位置の演繹的な知識を必要とします。
タンパク質の重ね合わせを行うことが可能です。重ね合わせは二つのタンパク質の残基をマッチングさせ、マッチした残基のα炭素間のRMSD をミニマイズする回転と並進移動を計算することによって行われます。ひとつのタンパク質に対して数多くの他の分子(リガンドや補因子、他のタンパク質鎖)が付随している場合は、付加的な分子を選択してタンパク質と同じ変換を選択した分子に適用することが可能です。
MolDock, MolDock grid, MVDの再順位付スコアは、化学的に関連がある単位で表現されていません。しかしながら、Molegro Virtual Dockerでは、バインディングアフィニティの概算を与えることができます。詳細は、テクノロジーの紹介ページを参照してください。
"Cavity Detection" によって検出されたキャビティは次のふたつの目的で使用されます。
1)バイディングサイト(サーチスペース領域)の原点の設定
2)ドッキング計算中(最適化プロセス)の、ポーズへの束縛
誘導型微分進化では、探索プロセスの間、予測されたコンフォメーションを束縛するために、キャビティ予測アルゴリズムを用いることができます。より正確に言うと、もし候補ソリューションがキャビティの外に置かれていると、無作為に選ばれたリガンド原子は、キャビティによって囲まれる領域内に位置するよう平行移動されます。
当然ながら、この方法は、キャビティが見つかっている場合にのみ適用可能です。キャビティが得られていない場合は、サーチプロシジャは、候補ソリューションに束縛を掛けません。
MVDで利用可能なすべてのドッキング最適化アルゴリズム(MolDock Optimizer, MolDock SE, Iterated Simplex)で、この方法を用いています。
ドッキングで使われる関数よりも計算上さらに複雑なスコアリング関数を用いてポーズを再順位付けすることが可能です。この再順位付けスコア関数は、いくつかの項の和で(Van der Waals 力、静電相互作用及び溶媒項)であり、マニュアルで変更することができます。
ドッキング複合体上にコンストレインを掛けて、エネルギー景観を変更することも可能です。ある相互作用が発生するよう強いるhard constraintsや、複合体のある範囲にやわらかな正負のペナルティを加えたりすることができます。
回帰分析ツールを用いて、アフィニティ予測のためのカスタムモデル(ニューラルネットワークベース)を構築することも可能です。カスタムモデルから得られた予測は、Pose Organizerから直接作ることができます。
GUIを用いて、複数のリガンドを同じ標的タンパク質にドッキングさせることができます。ドッキングウィザードにより自動的にドッキング計算で見つかったポーズをセーブし、クラスタリングを行い、類似ポーズを削除することができます。
ビルトインされているスクリプト言語やPythonのような外部のスクリプト言語を用いてコンソールから複数のドッキング計算を記述し、自動計算させることが可能です。
MVDのグラフィカルユーザインターフェイスにある、MVDのDockingウィザードは、限られた数のリガンド(1,000以下)を取り扱う目的でデザインされたものと言えます。
大規模なドッキング計算を行うために、MVDが持つスクリプティング言語、または、Pythonのような外部スクリプティング言語を用いてドッキングエンジンを記述し、実行することで実現できます。また、これは、より大きなドッキング計算をいくつかのマシンに分割することも可能にします。MVDのGUIには、大量のドッキングポーズを取り込み、解析する能力があります。
注目:MVDのライセンスは、契約したユーザに対して与えられます。これは、そのユーザが、無制限数のマシン、CPU、あるいは、複数のOSにMVDをインストールして実行することができることを意味しています。もう「CPUあたりのコスト」を考える必要はありません。
分子の化学的特徴を基にドッキングテンプレートを作成し、そのテンプレートへリガンド分子をフィッティングすることでアライメントすることができます。
また、2つのリガンド分子上でそれぞれ3つの原子を選択することで、それらが選択されたのと同じ順序で3原子をアライメントさせることも可能です。
CUDAに準拠したNvidiaグラフィックカードが必要です。こちらに、Nvidia社からの情報提供があります。
特別なドライバーやソフトウエアをインストールする必要はありませんが、使用しているドライバーが最新のものに更新されているかどうかをお確かめください。最新のNvidiaドライバーは、こちらで見つけ出すことができます。
計算速度は、いくつかの要因によって決まります。グラフィックカードの理論上の計算能力(GFLOPS)は、性能の良い目安となります。しかし、他にもまた要因はあります:ドッキングアルゴリズムは、CPUとGPUの両方を使用し、それらの間でデータを渡します。高速なGPUの場合、CPU上のひとつのプロセス(スレッド)がGPUにデータを送るのに十分ではないかもしれません。これは、いくつかのドッキングプロセスを開始することで打開することができます(ドッキングウィザードが呼び出されるたびに、新しいスレッドが開始されます。
ネットワークを通じての分子データ等の移動に関連するオーバーヘッドが、GPUを使用することによる性能向上を著しく悪化させます。そのため、たとえ可能だとしても、ローカルマシンでのGPUアクセラレーションの実行を推奨します。
GPU上で実行されるアルゴリズムは、CPU版のものとは異なるものです。これは、GPUのアーキテクチャのためです。これが原因で、GPUアクセラレーションアルゴリズムは、CPUアルゴリズムに比べ、わずかに精度が落ちます。CPUアルゴリズムに関しては、その精度は、実行されるrunの数にも依存します - そしてまた、最適な設定というのは、データセットにある化合物にも依存します。もし可能であれば、実験データを再現できるかどうかを見るために既知の結晶構造でのアルゴリズム設定をテストすることは良い考えと言えます。
85個の多様化合物のセット(Astex Diverse Set)について、GPU加速によるドッキング計算では、上位ランクのポーズに対して(1化合物あたり10runを用いて)、74%(RMSD<2A)という精度が得られています。
MVD2018は、Windows 10, 8/8.1, 7 上で稼働します。
提供されたライセンスを、実行モジュール(mvd.exe)があるフォルダー(例えば:MVD/binフォルダー)にコピーしてください。ライセンスファイルは、”.license”という拡張子を持っていることを確認してください。
すべての機能を30日間試用できるトライアルライセンスがMolegro社より提供されます。ご希望のお客様は、電話、電子メール等でお気軽に弊社までご連絡ください。
以下のリファレンスをご利用ください:
MolDock: A New Technique for High-Accuracy Molecular DockingRené Thomsen and Mikael H. ChristensenJ. Med. Chem., 2006, 49(11), pp 3315 - 3321
Weblink: http://dx.doi.org/10.1021/jm051197e
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